福岡歯科大学

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学部・大学院

髙橋 裕 教授(現:学長) インタビュー

「“誇れる母校”づくりのプロデューサー  -歯科医師、教員、そして同窓生として」
2011.06.30
咬合修復学講座 有床義歯学分野
髙橋 裕 教授(現:学長)

――先生の大学生時代の思い出といえば?

髙橋:私は福岡歯科大学の卒業生なんですよ。だから本学の昔のことはよく知っています。私は3期生で、我々が入学した当時は現在のような大学の本館や体育館はなく、附属病院と進学棟(現在の福岡医療短期大学)それに事務棟があるだけで、あとは広いグラウンドと大学周辺の田んぼだけの環境でした。大学の前の道も舗装されておらず、大学の周りには高い建物が無く遠く離れたところからでも4階建ての白い附属病院が見えたものです。また、夏の夜などは、蚊が多く蛙の鳴き声があまりにもうるさくて、よく眠れなかったとことを覚えています。そんな環境のなか、学生は皆、歯科医師になるんだという夢がありました。本当に懐かしいですね。


開学当時の福岡歯科大学
附属病院の様子

――歯科医師(その中でも有床義歯学)を目指した理由とは?

髙橋:親が歯科医師というわけではないんです。小さい頃に知り合いの歯医者さんへ治療に通っていた私は、“歯医者さんって面白そうだなぁ~”と思ったのがきっかけなんです。純粋に歯科医師がすごいなぁ~と思ったんですよ。その後、縁あって福岡歯科大学に入学しましたが、我々が学生の頃は、補綴科(ほてつか)、保存科(ほぞんか)、口腔外科(こうくうげか)が花形でした。その中でも、最終治療を行う補綴科には大変興味がありました。当時の学長(松本洋一先生)が診療室で総義歯の難症例の治療をされていたこと、そして印象的だったのは普段あまり多弁でない先生が治療後に必ず一言、二言ポイントを教えてくれたことです。また、人間的にも大変尊敬できる素晴らしい先生だったのです。この先生の研究室で診療の考え方や技術、そして歯科医師としての姿勢を学びたいと思い、歯科補綴学第1講座(現在の有床義歯学分野)に決めました。今思えば松本先生との出会いは私にとって貴重な出会いとなりました。


松本先生の話をする
髙橋教授

――学生から教員になって振り返ってみると?

髙橋:先日、福岡歯科大学3期生の卒後30周年の同窓会がありました。早いもので卒業して30年が過ぎました。教員になった当初は、大学院設立のために患者増が急務ということで朝から夜遅くまで診療をしていました。昼休みもなく診療をしていたこともありましたね。その後は、本学の歯科医師国家試験成績が低迷していましたので、その対策講義を昼間だけではなく、学内施設にある研修センターで夜遅くまでしていたことを覚えています。


思い出話に顔がほころぶ
髙橋教授

――先生はどのような講義をされているんですか?

髙橋:現在講義は4年生の通年と3年生後期の一部、それに6年生の国試対策を受け持っています。3年生や4年生の講義では、可能な限り実際の臨床の話をするようにしています。我々の研究室では有床義歯補綴の臨床に直結した研究(義歯*の作製やそれらを用いた治療)を行っていますので、講義においても最新の研究成果を学生に提供することができます。実際に講義では教科書だけでなく、毎年改訂しているオリジナルのサブノートを前期・後期に分けて各70ページ配付します。最新の国試対策問題なども盛り込んでおり、各講義において問題を解くなどし、効率よく復習する機会を持てるようにしています。その他パワーポイントを使ったスライドや動画、実物を見せたり、図などを板書したりして学生自身が重要となるポイントを把握できるような講義を行っています。


義歯について熱く語る髙橋教授
*義歯:総入れ歯や
部分入れ歯など

――6年生の国試対策の講義をされているそうですが、学生の雰囲気はどうですか?

髙橋:そもそも国試とは国家試験のことで歯科医師免許を取得するために本学学生が受験するもので、毎年2月上旬に実施されています。国家試験については毎年非常に気にしています。その証拠と言ってはなんですが、国家試験の成績が良い時には、本学の田中健藏理事長(注:インタビュー当時)より紅白饅頭が配られるんです。その時の熨斗を教授室にはっているんですよ。それを見るたびに今年も頑張ろう!と思うんですよ(笑)。私自身、普段の講義の中でも国家試験を意識して指導にあたっていますが、やはり学年ごとにその学生たちが持っている雰囲気があるんですよね。ある一定の時期が来るとガラッと雰囲気が変わるんです。講義の合間の休み時間ですら机に座って集中して勉強しているんですから。しーんとしていてピリピリした雰囲気が伝わってきますよ。そんなときに少しでも早く講義に向かうと学生からどんどん質問がとんできます。今年から新たな強化授業も実施するなど大学としても着実に国家試験に対する環境づくりを行っています。


過去の成績優良時に配られた
紅白饅頭の熨斗の数々

――部活動や県人会を通して学生さんとの交流を大切にされていると聞きましたが?

髙橋:部活動は剣道部の指導にあたっています。私は剣道の経験が全くないのですが、学生と一緒になって剣道部の運営を行っています。本学の剣道部は、開学以来、全日本歯科学生総合体育大会で何度も優勝し、輝かしい成績を残しているすごい部なんですよ。その他にも私が北九州出身であることもあり、北九州市人会のお世話を他の先生たちと一緒に行っています。いろいろな関係で学生たちと接する機会が数多くあると学生の生の声を聞くことができるため、学生のニーズにあった指導が可能となるんですよね。こういったことは本当に重要だと感じます。

――今後福岡歯科大学に期待すること、そして先生が目指すものとは?

髙橋:学生たちは歯科医師になるために福岡歯科大学に入ってきます。親や家族も同様の考えです。大学が自信を持って卒業させた学生が歯科医師国家試験に落ちるわけにはいきません。もっと大事なことは、歯科医師となった後も一生涯勉強し続けていく力を持っていることです。そのためには“大学の教育力”がとても重要となるわけです。本学の理事長がいつも言われている「同窓生が誇れる母校になる」、これを私は常に念頭に置いて学生の教育にあたっています。歯科医師として、教員として、そして何より本学の同窓生としてできる限り力を尽くしたいと思います。私自身としては、大学の学生、教員など皆が前向きに進み、日々成長できるような環境づくりに務めたいと考えています。


教授室にてパソコンに向かう
髙橋教授

――今日はお忙しい中ありがとうございました。

髙橋:いえ、こちらこそ。

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