山本 勝己 准教授 インタビュー
~歯科治療とデジタル技術の融合~」
■ 出身と学生時代
「ソフトボール同好会に所属していました。今でも同好会とはつながりがあって…」
――先生のご出身はどちらですか?
山本:福岡市内です。生まれた時から家の近くに福岡歯科大がありました(笑)福岡歯科大の受験時も自転車で来ました。
――先生は本学のご出身ですが、もしかするとご近所だから本学を志望されたのですか?
山本:いえいえ、もともと親が歯科医師で、親の仕事ぶりを目にする機会が多かったので興味がわき、この世界に入ろうと思うようになりました。本学を選んだ理由としては、地元を離れたくなかったという事と、サポートの面でも安心という話を聞いたからです。
――学生時代に部活動などはしていましたか?
山本:ソフトボール同好会に所属していました。今でも同好会とはつながりがあって、実は同好会のOB会長をしているんですよ。
今はこのご時世なので開催しておりませんが、毎年歓迎会と追い出しコンパには参加して、そういった活動の中で学生と交流する機会を持っています。
――学生時代にやっておいて良かったことは何かありますか?
山本:人との交流ですかね。横縦のつながりを作れたことだと思います。 また、教員になって改めて思うのは、それに加えて担当の臨床実習の先生ともっと仲良くしていたらよかったということですね。そうすれば将来の選択肢ももっと広がっていたのかもしれません。そういった思いから、大学で学生を指導する際には、卒業後の進路に対して幅広い視野を持って学生生活を送ってほしいと伝えています。
■ 研究そして留学
「尊敬できる先生、目標となる先生、お手本となる先生と出会えたことが大きいと思います」
――先生が大学に残り、インプラントを専攻するきっかけは何ですか?
山本:本当は補綴科の専攻を考えていたのですが、大学在学中にインプラントという分野が徐々に確立化している動きがあったんです。当時他の科と比べてまだまだ専門医が少ない状況で、まだ多くの人がやっていないことに挑戦しようと思いインプラントを専攻しました。
――その結果、大学に残って研究を続けることになったのですか?
山本:そうですね。インプラントをどこで学ぶかと考えた時に、まだ専門医も少ない状況だったので大学で研究しながら学ぼうと思いました。そのまま現在に至っているのは、尊敬できる先生や目標となる先生、お手本となる先生と出会えたことが大きいからかと思います。
当時、インプラントの教授をされていた松浦正朗先生(現:福岡歯科大学名誉教授)に出会ったことで、目標となる先生が見つかりました。私が松浦先生を慕って相談をしたり施術を見学して学ぶというのは当然の事なんですが、松浦先生ご自身の研究や診療で補助的なメンバーに私を入れて指導してくださいました。先生のおかげで今があると思っています。
――先生はアメリカのロマリンダ大学に留学の経験があるとの事ですが、その時の経験についても教えてください。
山本:ロマリンダ大学には臨床教育に関するプログラムや技術を学ぶために行きました。一緒に学んだメンバーは世界中から集まっていて、教官を合わせてアメリカ人は一人もいなかったんですよ(笑)。アメリカの大学で学んだ、というよりも世界中の国々の人が集まった大学で学んだと考えるようになりました。
――国際色豊かな大学だったんですね。留学した当初は大変でしたか?
山本:初めは大変でしたね。まず多くのメンバーがいるので自分を売りこまないと存在が消えてしまいます。様々な国から参加していましたので…。その中で自分の意思をどう通すかをアピールすることが大事だと痛感したため、自己主張の大切さを体験する留学となりましたね。
■ 臨床と教育
「デジタル技術を使いこなすことができるドクターの技術力、診断能力も向上させていく必要があるのではないかと思います」
――口腔医療センターの特徴や診療のアピールポイントについて教えてください。
山本:小さな総合歯科医院と言えるのではないかと思います。現在、口腔医療センターは少数精鋭ではありますが、各分野の専門医が一堂に集まっているため、症例一つに対しても連携がとりやすいという利点があります。
また、患者さんの希望に沿った治療ができているかということを共通の意識として心がけて診療にあたっています。
博多駅近くにあるという立地的な面からか、県外から来られている患者さんもいらっしゃいます。また、オフィス街でもあるため、昼休みの時間帯に診療に来られる方もいらっしゃいます。初めての方でも紹介状なしで受診できますので、気軽にご来院ください。
――先生はコンピューターにも精通しているとお聞きしました。近年デジタル技術が歯科領域に入ってきている上での魅力や利点とは何でしょうか?
山本:手作業の一部を担ってくれる、正確に再現できる、誰がやっても一定の結果が得られる、といったところですね。
最近だとモーションキャプチャー※を応用した手術操作自体を支援してくれる“ナビゲーションシステム”というものがあります。現段階で臨床の現場にすべて導入するということには課題が多く残されています。しかし、学生の実習指導という面では、みんなで共有できる点で、学習のデジタル化として理に適っているシステムだと思います。
今はデジタル技術も進化していますが、その分その技術を使いこなすことができるドクターの診断能力と技術力も向上させていく教育が必要なのではないかと思っています。
※モーションキャプチャー…現実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術
――先生から見た福岡歯科大学の魅力について聞かせてください。
山本:先生方が学生に対して丁寧な指導を心がけている点です。その中でも助言教員制度というシステムは珍しいと思います。教員が親身になって学生を見守っている大学ではないでしょうか。
あとは新設された病院での臨床実習ができるというのも楽しいのではないかと思います。私が学生時代の頃の実習とは違って、診療室がかなり広くなっていますしね。
――歯科医師を目指す学生に向けてメッセージをお願いします。
山本: 歯の失った機能を回復・維持させてQOLの向上に携われるのは歯科医師しかできないことだと思います。いろいろな思いで入学される方もいるかもしれませんが、歯科医師は素晴らしい職業だと思います。国家試験合格にむけての勉強を大きな軸にしながら、いろんな出会いを通して視野を広げた学生生活を送り、人生の枝葉を伸ばして欲しいです。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました!
山本 准教授からのビデオメッセージ