福岡歯科大学

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学部・大学院

島津 篤 准教授 インタビュー

「献身的な心で豊富な経験と知識を周囲へ還元!
~国際協力から学生指導まで~」
2021.11.01
口腔保健学講座 社会歯科学分野
島津 篤 准教授

――先生のご出身はどちらですか?

島津:大阪出身です。親の転勤に伴って高校までは大阪市内のほか、岡山県の倉敷市に住んだこともありましたが、ほとんどは大阪で過ごしました。 大学で岐阜、大学院で大阪、留学でアメリカへ行き、帰国後は広島に12年住んだ後、福岡へ赴任して今年で5年目になります。
 

――先生が歯学部を目指されたきっかけは?

島津:両親が医師、叔父が歯科医師をしており、幼少期からその姿を見て育ったせいか自然と人の役に立つ仕事がしたいと思っていました。 そのため、幼いころから漠然と将来は医療系に進みたいなと思っていました。

――大学時代はどのように過ごされましたか?

島津:幼少期を都会で過ごしたことで自然への憧れを持っていたことや大学の周りに山がたくさんあったことから、山登りやスキーに魅せられ、部活動は、ワンダーフォーゲル部(※)に在籍していました。当時は1週間分の食料と荷物を持って、北アルプスを縦走したりしていましたよ。 さすがに今はしていませんが(笑)
また、無歯科医地区へ行き、アニメのキャラクターの格好をして保健指導をしたりしていましたね。
(※)ワンダーフォーゲルとは、山野を、渡り鳥のように徒歩旅行する活動のこと(ワンダーフォーゲルはドイツ語で渡り鳥の意)。出典:小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)

――ところで先生は、マラソンもされていると伺ったのですが…

島津:元々高校時代に陸上部に所属し、中距離走(800メートル)をしていました。
しばらく走っていなかったのですが、犬の散歩で大濠公園に行ったときに走っている人々を見て、「ちょっとやってみようかな…」と思いまた走り始めました。
以前教職員の方々と福岡マラソンに参加しましたが、長くても10キロぐらいまでしか走ったことがなかったのでフルマラソンは大変でした(笑)でもなんとか完走しましたよ。

 

――先生は以前カンボジアで歯科医療活動を行っていたとお聞きしました。

島津:広島にいた頃に、すでに活動をされていた有志の方々に声をかけてもらったのが始まりです。
当時、カンボジアでは、内戦の影響で歯科医師が不足しており、口腔衛生の意識欠如から特に子供のう蝕が大きな問題になっていたため、その有志の方々はアンコールワットのある観光地として有名なシェムリアップへ赴き、歯科医療活動を行っていました。
私は2010年から毎年大学が春休みに入る2月頃、当時小学生だった息子も一緒に、患者さんへの治療、また治療後もむし歯にならないようにするため保健指導や歯ブラシの提供をしたりしていました 。

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――活動を通じて先生が感じたことなどはありましたか?

島津:やはり、その国の食生活・外部環境も含めた経済状況や水準などが口腔内に反映されているように感じました。実際に先進国はむし歯が少ないですからね。
厚生労働省が行っている歯科疾患実態調査によると、日本でも50年ぐらい前は1日1回しか歯を磨かないというのが主流で、歯ブラシの共有すらあったそうです。 しかし最近では子供の口腔内に対する親の意識が変わり、むし歯にならないように仕上げ磨きをすることや、歯科医院へフッ素塗布にいくことが一般化していることから、乳幼児や小学校低学年では親の口腔衛生への意識が子供の口の中へ反映されていると感じますね。
実際に日本の子供のむし歯は劇的に減ってきていて、特に中学生のむし歯の数は0.7本、しかも3人に2人はむし歯ゼロなんです。

 

――先生の所属されている分野についてわかりやすく教えてください。

島津:歯科医師の役割は、歯を削る・予防処置を行う、とイメージされるかもしれませんが、実は時代とともにその役割は変化しています。 むし歯の患者さんがたくさんいた昔と、少子高齢化が進んだ現代では歯科医師の役割は異なり、それに伴って法律も変わってきます。私が所属している社会歯科学分野では、保健、医療、法律が、疾病構造や人口構成の割合に応じて変化することを理解し、その時代に応じた歯科医師の役割について学びます。
講義ではそのことをダイナミックに、かつ分かりやすく伝えていきたいと思っています。

――先生は本学で学外実習を担当されていますが、どのようなことをされているのですか?

島津:一例を挙げますと、福岡市西区の乳幼児健診(1歳6か月・3歳児)に学生を引率して、健診の運営方法・実施内容や私が健診している様子を見学させ、幼児の口がどのような状態なのかを見てもらったりしています。
この学外実習を通して、歯科医師は診療室で診療を行うだけではなく、健診等で「公衆衛生の向上」の一翼を担い、地域に貢献することも大切な仕事であるということを伝えているところです。
併せて、予防歯科を実践している歯科医院でどのような診療をしているのかについても見学し、歯科診療は治療・予防ともに重要であるということを意識してもらうようにしています。

――先生は助言教員として学生をサポートしていますが、どういったことに力を入れていますか?

島津: 「積極的に学生と会う」、「声かけをする」、この2点を意識して行っています。
実力試験の結果や順位を見て、学生の状況を把握しながら「いつも応援しているよ」「がんばれ」と声をかけるようにしていますね。
学生と仲良くなると授業もちゃんと聞いてくれるし、科目に対する愛着がわいてきたという声も聞きます。そういった声を聞くと非常にうれしいですね。

――本学の学生の印象について教えてください。

島津: 素直で性格の良い勤勉な学生が多い印象ですね。
歯科医師国家試験を突破するために、勉強をして学んだ知識を様々なものに応用して自分の力にしてほしいと思います。
また、下級生にとっても手本となる先輩が多くいる良い環境だと思うので、歯科大学に進学を希望する学生さんにおすすめします。

――最後に、先生の今後の抱負を聞かせてください!

島津: これまでの人生を振り返り、人との出会いはとても大切だと痛感しています。周りの人々との出会いに恵まれ良い影響を受けたからこそ、研究の面白さに気づくことや留学まで出来たのかなと思います。これまでの自分の経験を伝えること、積極的に声かけをすることで、学生の成長のきっかけになってくれればと思いますし、卒業後に今度は逆に声をかけてもらえると教育に携わってよかったなと感じますね。中には助言教員としては担当していなかった卒業生からも時々電話がかかってくることもあります。
今後も引き続き自分が良い影響を受けてきた部分を学生に還していきたいと思っているところです。

――今日は貴重なお話をお聞かせくださりありがとうございました。

島津 准教授からのビデオメッセージ

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