馬場 篤子 講師(現:福岡医療短期大学 教授) インタビュー
――先生のご出身はどちらですか?
馬場:生まれも育ちも福岡市です。実家(自宅)は地下鉄七隈線の七隈駅を出てすぐのところです。高校は福岡県立城南高等学校で、大学受験の時、福岡を出るなんて全く考えたことはありませんでした。
――歯学部に進まれた理由は?
馬場:理系でしたので、医者か歯医者か薬剤師か看護師か検査技師か、、、いずれにしても医療関係の仕事に就きたかったのです。高校の時、同じクラスに歯科医のお嬢さんがいて、彼女から歯科大を一緒に受験しようよって誘われて受験したんですよ(笑)。いつの間にか歯科について興味をもちはじめ、福岡歯科大学に入学することになりました。かれこれ18歳から歯科大に通いはじめて、もう33年になります(笑)。
――学生時代に取り組んだことを教えてください。
馬場:大学時代は、男子バスケットボール部のマネージャーと書道部に所属していました。高校時代に3年間書道部に所属していた事もあり、下手の横好きで字を書いていました。作品作り以外にも大学の卒業式の答辞や送辞の原稿を書いたり、学会や同窓会のお手伝いで感謝状や胸章にお名前を書いたりさせてもらいました。昔は、今みたいなパソコンがなくて全て手書きでしたからね。
――先生は小児歯科を専門とされていますが、小さなお子さんのむし歯予防のために、保護者がしてあげられることは?
馬場:一度むし歯になった歯は、二度ともとには戻りません。お子さんの健やかな成長のためにも歯やお口の健康の大切さを伝えるのが保護者の役割だと思います。むし歯ができてから治療するのではなく、定期的にメインテナンスをすることが大切ですね。特に日常生活で気をつけてもらいたいことは、食後の歯磨き習慣を身につけさせる、むし歯の原因菌(ミュータンス菌)が子どもに移らないように大人もしっかり歯磨きをする、間食は時間と量を決めて与える、ということです。
歯の模型を使ってブラシングの指導
――最近では先生のような女性の歯科医師も増えてきましたね。
馬場:そうですね、女性歯科医師の数は年々増加しています。歯科大学在籍者や歯科医師国家試験合格者の女性の割合も40%を超えています。私が所属する小児歯科は特に女性歯科医師の数が多い診療科です。私が新人の頃、医局の先輩の女性歯科医師たちが仕事と子育てを両立されている姿を見て、私もこうなりたいと思っていました。子どもが大好きな小児歯科の先生方や両親の支えがあったお蔭で、私も仕事と子育てが両立できたと感謝しています。
――ぜひ多くの女子学生たちに歯科医師を目指してほしいですね。
馬場:女の子は手先の器用な子が多いので、歯科での細かい作業に向いていると思います。
また、女性でも資格を持つということはとても大切な事だと思いますので、ぜひ歯科医師を目指してもらいたいです。
――先輩・後輩をつなぐため、先生は同窓会の副会長も務めていますね。
馬場:先ほどお話しした書道を通して、学生の頃から同窓会のお手伝いをしていましたので、卒業後は同窓会の理事を務めさせていただいており、2014年からは副会長の一人として同窓会活動に携わっています。本学でも女子学生や女性歯科医師が増えています。彼女たちが仕事と家庭が両立できるよう、大学や同窓会としても彼女たちを支えていけたらと思っています。お腹が大きくなった後輩を見つけたら「子どもを保育園に預けられるようになったら、戻っておいでね」と声をかけています。そうやって、若い歯科医師たちを応援して、その子たちがまた下の世代の面倒を見てくれる、そういう縦のつながりが大切かなぁと思っています。
――今年の10月には、本学が主幹校となった第23回日本歯科医学会総会が福岡で開催されました。
馬場:はい、この歯科医学会総会は4年に一度開催される学会で、今までは大阪や東京でしか行われていなくて、今回初めて九州、ここ福岡で行われました。水田会頭をはじめ、スタッフの皆さんの尽力でこのような学会の開催を成功させることができて母校を誇りに感じました。私、学会って色んな先生と久しぶりに会えるので大好きなんです。私は会頭招宴で僭越ながら司会を務めさせていただきました。歯科医だから司会もできる・・・(笑)。恩師の本川渉先生(注:成育小児歯科学分野・前教授)もいらっしゃって、本学の教職員の頑張っている姿を見て、素晴らしい学会だったと本当に喜ばれていました。
――福岡歯科大学医科歯科総合病院の小児歯科はここがすごいというアピールポイントはありますか?
馬場:本学の小児歯科は「教育」「研究」「臨床」と、どれも素晴らしいと思いますが、私は特に「臨床」に力を入れています。むし歯や歯並びの治療、外科的治療や歯の外傷、勿論むし歯予防の患者さん等、主訴は多岐にわたりますが、お陰様で患者さんが多数来院されます。また、周囲の歯科医院からも患者さんを沢山ご紹介していただいています。本当にありがたい事です。医局では、若手小児歯科医がベテラン小児歯科医と同じ治療方針が立てられるよう、毎週水曜日と木曜日の朝1時間、カンファレンスを行って研鑽を積んでいます。
診療室にはかわいい動物のイラストがいっぱい♪
――歯科医師を目指す学生へのメッセージをお願いします。
馬場:私たち歯科医師は、乳幼児から高齢者まで「国民の皆様に、生涯に亘り噛める喜び、話せる喜びをもって豊かな生活を送っていただくこと」を目標としています。でも女性は仕事以外に、出産や育児、それに介護という役割を担う場合も多いですから、女性歯科医師が現役で活躍し続けるというのは現実問題としては簡単でありません。実際、何年か職場を離れてしまった場合、今は医療技術とか器材とかの進歩ってすごく早いから、もとの職場にそう簡単には復帰できないんですよ。子どもの保育先がなかなか見つからない問題とかもありますけど、そういうので復職をあきらめるのはすごく残念です。だから皆さんたちが困らないように就労継続支援や復職支援、それに育児支援や介護支援等々と環境づくりを進めています。本学園では保育園の開設に向けて準備を進めており、許可が下りれば来年の夏にオープンする予定です。皆さん、期待してぜひ歯科医師を目指してほしいと願っています。
――先生、本日はお忙しい中、ありがとうございました。
馬場講師(病院准教授)からのビデオメッセージ