福岡歯科大学

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学部・大学院

香川 豊宏 准教授(現:教授) インタビュー

「生え抜き画像診断科医は出色のクリエイター~歯学教育オリジナル教材を考案~」
2017.11.01
診断・全身管理学講座 画像診断学分野
香川 豊宏 准教授(現:教授)

――本日はよろしくお願いします。早速ですが、先生の出身地はどちらですか。

香川:名前の通り、香川県です(笑)。自己紹介ではいつも「香川県の香川です」と言って、名前と顔を覚えてもらっています。

――「香川県」といえば、うどんが有名ですね。

香川:私もうどんを食べて育ちました。おやつ、夜食はうどんですし、喫茶店のモーニングでもうどんが出るんですよ。それと雑煮にあんこ餅を入れて食べる風習があります。あいにく私の母は岡山県出身なので普通の餅入りの雑煮を食べて育ちましたが、親戚の家に行ったら、あんこ餅入りの雑煮が出てきて・・・私は食べ慣れていないですね(笑)

――高校生までは、香川県にいらっしゃったんですか。

香川:はい、高校は高松北高校で、そこの1期生なんですよ。部活は新聞部に所属していました。新任の先生が来たらインタビューをするんですよね。だからインタビューをする方は慣れているんですが、される側は慣れていなくて・・・。
歯学部への進学を目指して本学・福岡歯科大学の推薦入試を受験し、10月には合格発表があり、高校1期生の中で最初に合格通知をいただきました。

――先生の大学生活について、教えてください。

香川:当時は今よりも髪は長く、オールバックにして、ビシッと決めていました。今は見る影もありませんが・・・(笑)。部活は運動部に入りたいと思い、ワンダーフォーゲル部に所属しました。久住、鹿児島の韓国岳、日本アルプスの槍ヶ岳などに行きましたね。ワンダーフォーゲル部は閉部してしまいましたが、今でもOB会を開いて、皆で集まっています。

――昔と今を比べて歯科大に通う学生さんの雰囲気に変化はありますか。

香川:学生の雰囲気は昔も今も変わってないと思います。本学は素直な学生が多く、挨拶もしっかりでき、人当たりもいいので、皆さん卒業して良い歯科医師になっています。「人間性を育む」という伝統が息づいているのだと思います。

――卒業後、画像診断学分野を専門として選ばれた理由は何ですか。

香川:私の祖父、父ともに歯科医師なのですが、父は診察時にレントゲン写真をじっと見ていました。「病変が有るか無いかで治療が変わってくるから、一生懸命に見ないといけないんだよ。」と言っていたのが、印象に残っており、それが私の専門につながっているんだと思います。
画像診断はサッカーでいうところのキックオフで、画像診断が違うところにボールを蹴ったら、全く違う治療法が始まって、落ち着く場所も違うことになりかねません。むし歯から口腔内の腫瘍まで、全ての画像を読んで、的確に診断を下さねばなりません。


歯科用エックス線発生装置について説明する香川先生

――画像診断は患者さんの治療を決めることになる上で、とても重要なんですね。それでは本学の画像診断学分野の特徴を教えてください。

香川:単科の歯科大学にもかかわらず、本学のように最新のCT、MRIなどの装置を有する大学は他に少ないと思います。これらの機器は教育、研究、診療でフル稼働しており、ものすごく恵まれた環境です。
また本学ではオーダーメイドの検査を心がけています。担当医から依頼のあった画像を撮影するのみではなく、患者さんのニーズに応じて、追加で必要な検査があれば、我々の方から担当医にお伝えすることもあります。この点は診療科長である湯浅教授からの教えです。

――ところで、先生の白衣の襟につけているキーホルダーが気になるのですが・・・。

香川:これは、口腔医学のキャラクターをキーホルダーにしたものです。本学では「口腔の健康から全身の健康を守る」歯科医師の育成を目指して口腔医学という学問を提唱しており、そのキャラクターを私が考案させていただきました。本学医科歯科総合病院の広報誌(New Sophia Hospital)にも登場します。毎年、学園祭の「からだの科学展」というイベントで口腔医学に関するブースを出展していますが、そこでキーホルダーにして配っていますよ。


口腔医学キャラクター・オーラルくん

――可愛らしいキャラクターたちですね。教育におかれても、先生のホームページ※にはユニークな教材が多数見受けられますが、はじめたきっかけは何ですか。

※香川准教授のホームページ・・・http://radiology.nobody.jp/

香川:放射線物理学の講義を行っていますが、学生にとって理解し辛いところが多く、それを分かりやすく伝えたいという思いで、はじめました。また放射線画像は2次元の写真ですが、これを頭の中で3次元に再構築して診断する必要がありますので、アニメーションを取り入れています。
2008年からインターネットで公開し始めて、今では月6,000件のアクセスがあります。全国ほとんどの歯学部からのアクセスがあり、その他、医学系・薬学系の大学や製薬会社からもアクセスがあります。趣味的な教材としてはじめた活動でしたが、口コミで広まって、今では日本歯科放射線学会の公式ホームページからリンクしてもらっています。英語版のホームページもあり、国際学会で発表したところ、アメリカの顎顔面放射線学会から優秀賞をいただきました。

――学生用の教材としてペーパークラフトも取り入れていますよね。

香川: そうです。歯科医師国家試験には歯科用エックス線発生装置の構造に関する問題が出題されることがあります。この構造を理解するための教材として、ペーパークラフトを作製しました。きちんとミシン目もついていますよ。

オリジナル教材のペーパークラフト

――すごい!!まさにアイディアの賜物ですね。

香川:他にも画像診断を覚えられるようにカード形式の教材も作製しました。カードにはQRコードを入れてますので、インターネットに接続したスマートフォン等で読み取るとエックス線画像を見ることもできます。CBT、国家試験等にも使えると思います。
教材作りはアイディアが大切ですね。1日1時間程度ですが、高校や医療系以外の大学で実践されている教育方法を調べて、歯科教育に取り入れられるものはないかと考えたりしています。私のモットーとして「相手が理解していないと教育したことにはならない」という考えがあり、常に学生が理解しやすい授業・教材を心がけています。


オリジナル教材のカード式用語集

――最後に歯科医師を目指す学生さんにメッセージをお願いします。

香川:歯科医師は口の中だけではなく全身の健康に寄与し、患者さんの生活の質向上には欠かせない存在です。学生時代は歯科医師に必要な知識はもちろん、医療人としての人間性も育んでいただきたいです。そして、授業で分からないことがあれば、積極的に質問してほしいですね。教員にとっても、学生が分からないと思っている項目を知ることはとても有意義なことで、今後の授業にフィードバックしていくことができます。私たちはいつでもウェルカムで、皆さんをお待ちしております。


過去の試験問題にも触れながら
講義を進行

――先生の教育に対する熱い思いが伝わりました。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。

香川准教授からのビデオメッセージ

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