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学部・大学院

大島 裕司 教授 インタビュー

「患者さんのQOL(クオリティー・オブ・ライフ)に貢献する眼のスペシャリスト」
2024.09.05
総合医学講座 眼科学分野
大島裕司 教授

――先生のご出身はどちらでしょうか?

大島:福岡市内の出身です。福岡で高校まで過ごし、大学進学の際に長崎へ移りました。九州大学への入局で福岡に戻った後、アメリカ東部にあるボルチモアに留学しました。帰国してからは別府や北九州などの病院に勤務し、3年前から本学に着任しています。
 

――学生時代に熱中されていたことなどはありましたか?

大島:中学時代は部活をかけもちでやっていました。
はじめは陸上部に所属していましたが、幼少期にピアノを習っていて楽譜が読めたことから、担任の先生の勧めでブラスバンド部に入部し、アルトサックスを担当していました。
大学時代には、友達のバンド演奏にも参加したりしていましたね。
 

――気分転換や趣味で何かされていますか。

大島:音楽鑑賞です。邦楽洋楽などのジャンルは問わず聴いています。
あとは趣味とまではいえませんが、お菓子作りもします。
アメリカへ留学していたときに、現地の既製品のお菓子がなんでも甘く感じたんです。
自分好みのものを作るしかないと思い、道具を揃えてお菓子作りを始めました。今はあまり作っていませんが、たまに当時作る姿を見ていた息子へ教えながら一緒に作っています。
今では彼のほうがお菓子作りに興味を持ってやっていますね(笑)
 

 
(先生お手製のチーズケーキ)        (親子で作ったお菓子)

――お菓子作りが親子での良いコミュニケーションになっているのは素敵ですね。
    次に先生のご専門についてわかりやすく教えてください。

大島:眼球の中でも後ろにある網膜(カメラのフィルムにあたり、目の中に入ってきた光を刺激として受け取り、脳へ視神経を介して伝達します)や硝子体(眼球内の大半を占める透明なゼリー状の組織)を専門にしています。
その中でも特に、網膜や脈絡膜の血管新生(目の中に悪い血管が生えてくる病気)を専門にしていて、病気の発生原因及び治療方法について主に研究しています。

 
 

――診療する際に心がけていらっしゃることはありますでしょうか。

大島:患者さんによって状況が異なるので、その方に寄り添って、何を望んでいるのか、どのような治療が合っているのかを常に考えています。
私が扱っている疾患は完全に治る病気ではないので、その症状とどう一緒に生活していくのか、例えば運転が必要なのか・必要じゃないのかというような、その人の生活スタイルに合わせて治療選択しています。
また、残念ながら目が見えなくなった方に関しては、視能訓練士と協力の上、視力が無い中で生活しやすくするための方法(ロービジョンケアといいます。例:スマホのバックディスプレイを黒白逆にする・音声アシスタントを使うなど)を提案するようにしています。

――手術はどれくらい行っていますか?

大島:主に火曜日と木曜日の午後に行っています、週に8例ほどですね。
症例で一番多いのが白内障です。程度にもよりますが一泊二日か日帰りで退院される方が多いです。
手術とは異なりますが、以前いた病院の専門外来では、週に1度、1日100人の患者さんの目に(※)注射をしていました。月にすると400症例以上だったので、その時は眼科の中では西日本で1番注射打っていたと思いますよ(笑)引き続き、当院でも多くの患者さんに注射をしています。
※硝子体注射・・・加齢黄斑変性症の治療などで行われる

――留学中にはどのような研究をされていたのですか?

大島:アメリカのジョンズホプキンス大学のウィルマ―眼研究所で、当時の上司からアンジオポエチン2 (Ang-2)(血管の安定性に関わる物質)に関する研究テーマを任されました。
それまで知らなかった物質でしたので、様々な論文を調べて、毎日のようにマウスと格闘しながら研究を進めて論文をまとめました。
日本に戻ってからはAng-2の研究からは離れていましたが、驚いたことに当時の研究内容を基に2022年に新しい治療薬ができたんですよ。
自分が研究していたものが形になって、世の中に貢献できているのはうれしいですね。
 


(留学先の研究所の上司と)


(マウス実験室での研究時の様子)

――基礎研究が治療薬開発までつながるというのはあまり聞かないので
    すごいですね!留学先での思い出などはありますか?

大島:比較的ニューヨークに近い地区だったので、週末の朝早くから長距離バスに5時間ほど乗って日帰りでタイムズスクエアの日本食レストランに行ったり、ミュージカルを見に行ったりしてリフレッシュしていました。

――研究されていて困難にぶつかった際には、どのようにされていますか?

大島:実験していて思うような結果が出なかった時などは、一回で諦めないで複数回挑戦します。何がどう違うかを突き詰め、それでも本当に解決の糸口が見つからないときや、違うなと思ったときは、実験のやり方を変えたり、周りの人に相談したりしています。

――今後取り組んでみたい研究はありますか?

大島:加齢黄斑変性(加齢により起こる病気)の病態と口腔内の病態、特に歯周病との関連です。
調べている限りでは海外の論文には数本出てくるのですが、日本では論文になっていることは少ないです。国内でもまだあまり研究されていない、歯科と眼科の関係について研究していきたいと思っています。
 

――本学の学生の印象について教えてください。

大島:学生さんは皆さん素直でいい子たちだなと思います。
受け持っている講義では、できるだけ興味を持ってくれたらいいなと思いながら、時々雑談や眼科での手術時の映像を入れています。特に手術動画は物珍しさからか興味を持って観ていますよ。
 

――先生の今後の展望について聞かせて下さい!

大島:人は情報の7割を五感の中の視覚から得ていると言われています。視力を保つことはとても大切なことだと思うので、これまでの経験と知識を活かして、一人でも多くの患者さんをこれからも救っていきたいです。
 

――今日は貴重なお話をお聞かせくださりありがとうございました。

大島 教授からのビデオメッセージ

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