2025.03.14 【研究成果】long COVIDの上咽頭における慢性炎症と上咽頭擦過療法の治療メカニズムを解明 〜空間的遺伝子発現解析による新たな知見〜
福岡歯科大学 口腔医学研究センター 西憲祐 研究員、耳鼻咽喉科学分野 山野貴史 教授、病態構造学分野 吉本尚平 講師、株式会社CyberomiX 渡辺亮 CEO、福岡大学細胞生物学教室 角田俊之 准教授、旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頚部外科学教室 熊井琢美 講師の研究グループは、long COVIDにおける上咽頭の炎症メカニズムを解明し、日本発祥の治療法である上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy, EAT)の治療効果を遺伝子レベルで実証しました。
本研究成果は、2025年3月12日に科学誌「Scientific Reports」に掲載されました。
本研究のポイント
・long COVID患者の上咽頭ではSARS-CoV-2由来RNAが持続し、慢性的な免疫活性化が生じる。
・上咽頭擦過療法(EAT)による治療がウイルス残存を減少させ、炎症の改善に寄与する。
概 要
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した後も、長期間にわたり症状が持続する「long COVID」は世界的な課題となっています。上咽頭は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の主要な感染部位であり、long COVID における持続的な炎症の温床となる可能性が指摘されてきましたが、遺伝子レベルでの炎症メカニズムの詳細は未解明でした。
最新の空間的遺伝子発現解析「Visium HD」を用いて、long COVID患者の上咽頭における遺伝子発現を解析し、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が上咽頭の免疫環境をどのように変化させるのかを明らかにしました。さらに、EATの分子メカニズムを解析し、その治療効果についても検証しました。
本研究の詳細はこちら(pdf)
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