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2024.04.16 【研究成果】壊死性唾液腺化生の発症機序を解明

福岡歯科大学病態構造学分野の吉本尚平講師(口腔医学研究センター研究員を兼務)、岡村和彦准教授、同大学口腔腫瘍学分野の平木昭光教授らの研究グループは、九州歯科大学口腔病態病理学分野、大分大学医学部歯科口腔外科、埼玉県立がんセンターとの共同研究で、壊死性唾液腺化生が、周囲の線維芽細胞から産生されるTGFβ-3により発症することを明らかにしました。

今回明らかにした壊死性唾液腺化生の発症機構は、正確な診断・治療を行う上での新たな指標となる可能性が考えられます。

 

本研究成果は、2024年4月9日に英国科学雑誌「The Journal of Pathology」においてオンライン公開されました。

 

概 要

壊死性唾液腺化生は口腔に存在する唾液腺において発生する疾患です。良性であり、自然に治癒するのですが、粘膜に大きな潰瘍を伴うこともあり、扁平上皮癌との鑑別が問題となります。その発生には、粘膜の損傷や虚血状態が関わるとは考えられていましたが、発生に関わる機序は明らかではありませんでした。

 

しかし、今回の研究成果によって、壊死性唾液腺化生が、周囲の線維芽細胞から産生されるTGFβ-3により発症することを明らかにしました。

 

正常の唾液腺と比較して、壊死性唾液腺化生の組織において発現が増加している遺伝子を検索したところTGFβ-3が見いだされました。TGFβ-3は口腔粘膜の創傷治癒時に発現することが知られています。TGFβ-3の発現分布を解析したところ、壊死性唾液腺化生周囲の線維芽細胞での強い発現を認めました。さらに、実際の唾液腺を模倣したオルガノイド培養を用いてTGFβ-3の影響を検討したところ、TGFβ-3が唾液腺細胞の増殖を抑え、壊死性唾液腺化生に似た状態をもたらしました。

 

本研究の詳細はこちら(pdf)


<研究に関するお問合せ>

福岡歯科大学 病態構造学分野

講師 吉本 尚平

Mail: yoshimoto■fdcnet.ac.jp

 

<報道に関するお問い合わせ>

福岡歯科大学 企画課企画広報係

Mail: kouhou■fdcnet.ac.jp

 

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