口腔医学研究センター
組織図
本センターでは、これまでの先進的かつ独自性の高い研究活動を一層推進・拡充し、ブランディング強化を図るため、「常態系」、「病態系」、「再生系」、「臨床歯学系」、「医学系」の5つの口腔医学研究プラットフォームを構築しています。それぞれのプラットフォームでは、口腔の健康は全身の健康を守るという「口腔医学」のコンセプトに基づいた共通目標のもと、独自の先駆的研究に取り組むとともに相互の連携研究にも取り組みます。その結果として、本学園からの取り組みとして国内外から認知される成果を発表することを目標としています。
各口腔医学研究プラットフォームの構成と研究テーマ等
(1)常態系
口腔組織の細胞は、常に内外からのさまざまなストレスに曝されています。細胞は精巧な防御機構を備え持ち、これらのストレスから細胞の遺伝情報や細胞自身を保護し、生体の常態が保たれています。この防御機構の破綻は、多くの疾患の原因となることが知られています。本プラットフォームではストレス防御や恒常性維持の分子機構を解明し、口腔をはじめとする全身の疾患ならびに老化の発症と進展を制御するしくみを明らかにします。
(2)病態系
免疫学・微生物学・病理学といった視点から口腔医学における病態の解明と制御を目指します。基礎的な知見を臨床へ、そして臨床的な疑問を基礎へ、双方向のフィードバックによって、基礎ならびに臨床医学研究を両輪に口腔医学を推進するプロジェクトを展開します。例えば、免疫応答、口腔・腸内細菌叢、全身疾患の視点から口腔感染症や口腔癌などの病態を解明し、新しい診断法、予防法や治療法の開発に取り組みます。
(3)再生系
間葉系幹細胞を主体とする細胞再生療法の確立を目指します。そのために、3次元培養法であるスフェロイド法および細胞シート培養法を応用して、始めに試験管内実験で生体組織を模倣した組織複合体(オルガノイド)を作製します。次いで、動物を用いた実験でオルガノイドによる生体欠損部の修復および再生能を評価します。こうして最終的には歯周組織オルガノイドを作製し、臨床歯学に繋がるようにインプラントおよび歯周病治療をサポートする再生療法を実践します。
(4)臨床歯学系
口腔・顎顔面領域の疾患およびこれらと関連する全身の疾患に着目し、その病態を明らかにすることを軸として礎となる基礎研究を行います。さらに、再生医療や予防法の開発を目標として研究成果が実際の医療現場につながるような研究シーズとなることを目指します。また、臨床歯科医としての視点から、臨床現場で遭遇する生体反応を基礎研究へとフィードバックするリバース・トランスレーショナルリサーチを含めた研究活動を行います。
(5)医学系
外界と接触する口腔のミクロビオームと様々な全身疾患との因果関係が注目されてきており、疾患の予防と治療に口腔内のケアが重要視されています。例えば、歯周病の原因菌の 一つとされている Fusobacterium nucleatumは肝膿瘍、潰瘍性大腸炎、動脈硬化症などとの関連も指摘されています。本プラットフォームでは、口腔医学研究センターの次世代シーケンサーを用いて、口腔内ミクロビオームと全身疾患との関わりを明らかにし、口腔内ケアによる全身疾患の予防医療の道を切り開く研究を行います。