福岡歯科大学 私立大学研究ブランディング事業福岡歯科大学 私立大学研究ブランディング事業

ブランディング戦略/計画目標

ブランディング戦略

平成20年度からの本学の口腔医学の取り組みは、超高齢社会に対応した歯科医療のあり方を示すものと認識されており、それに基づくこれまでの教育改革や地域社会、地域医療機関および地方自治体と連携した保健・医療・介護の活動は高く評価されている。平成28年4月に発生した熊本地震では、本学の歯科医療支援チームが、主に被災地の介護老人施設や居宅の要介護高齢者の口腔管理、摂食・嚥下のアセスメントや嚥下指導を行い、支援終了時までに担当地区で誤嚥性肺炎による災害関連死者数ゼロを実現し、被災地ならびに歯科医師会から深く感謝された。本学の今後の口腔医学の推進は、行政、歯科医師会、学術団体等から大きく期待されている。また、平成29年4月の厚生労働大臣の口腔保健政策に関する国会委員会答弁の中でも、「口腔の健康が全身の健康につながる」ことや、「地域包括ケアシステムの構築の中で歯科医療連携体制を作ることの重要性」が強調されており、国の施策にも合致する事業であると確信している。

そこで、平成28年6月に、学長の指揮の下で「研究ブランディング事業実施委員会」(図参照)が立ち上がった。その後、同実施委員会では、本学の将来ビジョンを具体化した研究ブランディング事業を検討するとともに、外部からの意見聴取に基づく事前分析を行った。それに基づいて、本学イメージとステークホルダーを策定し、さらに具体的な工程を決定した。

社会学的アプローチの具体的な工程

1) 地域在住高齢者や地域在住者および2) 介護予防活動参加者: 口腔機能調査・予防チームにより、口腔健診・MCIスクリーニングスタッフの養成および精神科医などの地域認知症高齢者医療担当者との連携組織構築ならびに介護予防活動の環境整備を行ったうえで、地域在住高齢者の口腔健診を実施し、MCIの所見を有する地域在住者を特定し、健康指導と早期介入を開始する。
3) 地域医療機関 および 4) 地方行政機関: 口腔健診によって得られたデータによって、口腔関連指標とMCIの関連の分析を行う。さらに、地域高齢者のフォローアップ調査を行い、MCIへの早期介入の有効性に関する情報を収集し、地域への認知症予防の啓発活動と政策提言を行う(平成30年9月~平成33年3月に調査および広報活動を予定)。

教育的アプローチの具体的な工程

1) 歯科医師、看護師など および 2) 地域病院、歯科医師会・歯科衛生士会など:口腔ケアマニュアル作成および教育プログラム作成のための組織を構成した後、マニュアルおよび教育プログラムを作成し、外部評価者を含めた評価を経て、完成を目指す。マニュアル・教育プログラムについての研究成果を公表する。3) 在学生、受験生:3年目から福岡歯科大学口腔歯学部学生・福岡看護大学学生・福岡医療短期大学歯科衛生士学科・保健福祉学科学生を対象にした教育プログラムを開始する。

再生医学的アプローチの具体的な工程

1) 学術界・研究機関 および 2) 大学院生・若手研究者: 平成31年までに、歯の喪失を防ぐ歯周病治療と歯の喪失に対する歯科インプラント治療をサポートする再生療法の基盤となる研究を展開する。成果を学会発表や論文掲載にて随時公開する。3) 壮年者および高齢者: 高齢者に特徴的な歯周組織複合体形成を図るために、倫理委員会承認のもとで本人より同意を得て細胞サンプルを入手する。地域住民へ研究の意義と成果をわかりやすく公開し、再生療法を用いた歯周組織構築の可能性についての啓発活動を行う。